こんにちは!2026年3月のソウル旅行で訪れた建築スポットをまとめました。
ソウルはここ数十年で急速に都市開発が進み、世界的な建築家たちの傑作が次々と生まれている建築好きにはたまらない都市です。観光やグルメのついでに立ち寄れる建築スポットを設計者の情報と合わせて詳しくご紹介します!
ソウルはなぜ世界的な建築の宝庫なのか
韓国は1990年代後半のIMF経済危機からの復興以降、首都ソウルを中心に大規模な都市開発を積極的に進めてきました。その過程でサムスン・現代・ロッテなどの大企業や財団が世界的な建築家を積極的に起用したことで、ソウルには世界最高水準の現代建築が集中するようになりました。
旅行者の多い明洞・梨泰院・江南エリアにも世界的建築家の作品が点在しているので、観光のついでに建築めぐりが楽しめるのがソウルの大きな魅力です。
① リウム美術館|3人の世界的建築家が設計した韓国最高峰の美術館
ソウル・梨泰院エリアにあるサムスングループが運営する私設美術館「リウム(Leeum)」は、韓国の古美術を常設展示するMUSEUM1と、韓国と外国の近現代美術を常設展示するMUSEUM2から構成されます。MUSEUM1の設計者はマリオ・ボッタ、MUSEUM2の設計者はジャン・ヌーヴェルで、さらにレム・コールハースが設計した三星児童教育文化センターが併設されています。
それぞれの建物は世界的にも著名な建築家によって設計され、地下でつながっています。
3棟それぞれの建物が全く異なるデザインでありながら、ひとつの美術館として統一感を持って存在している点が建築的に非常に面白いスポットです。実際に訪れると「この建物を設計した建築家は誰なんだろう?」と自然に建築に興味を持てる場所でした。




MUSEUM1|マリオ・ボッタ(スイス)
世界的に評価の高いスイス人建築家マリオ・ボッタが韓国の陶磁器にインスピレーションを受けて設計した建築物で、テラコッタのレンガで作られた内部は中央がらせん状の独特のラインを描いています。
マリオ・ボッタはスイス・ルガーノを拠点に活動する建築家で、幾何学的なフォルムとレンガを多用したデザインが特徴です。
マリオ・ボッタの他の代表作 旧館:ユダヤ博物館サンフランシスコ近代美術館(アメリカ) 東京のワタリウム美術館(日本) スイス国立銀行本店(スイス)
MUSEUM2|ジャン・ヌーヴェル(フランス)
ジャン・ヌーヴェルはプリツカー賞(建築界のノーベル賞とも呼ばれる最高賞)を受賞したフランスを代表する建築家です。光と素材を巧みに操るデザインが世界的に高く評価されています。
ジャン・ヌーヴェルの他の代表作 アラブ世界研究所(フランス・パリ) ケ・ブランリー美術館(フランス・パリ) ルツェルン文化コンベンションセンター(スイス)
三星児童教育文化センター|レム・コールハース(オランダ)
レム・コールハースはプリツカー賞を受賞したオランダの建築家で、OMA(オーエムエー)という設計事務所を主宰しています。都市論・建築理論の第一人者でもあり「現代建築の思想家」とも呼ばれる存在です。
レム・コールハースの他の代表作 シアトル中央図書館(アメリカ) 中国中央テレビ本部(中国・北京) プラダ青山(日本・東京)
住所:ソウル特別市龍山区梨泰院路55キル60-16
最寄駅:地下鉄6号線「漢江鎮駅」から徒歩約5分
開館時間:10:00〜18:00(月曜休館)
入館料:常設展無料(企画展は有料)
② アモーレパシフィック世界本社|デイヴィッド・チッパーフィールド設計の白磁をモチーフにしたビル
ソウル・龍山エリアにあるアモーレパシフィックの本社ビルは2017年の秋に竣工し、英国人建築家デイヴィッド・チッパーフィールド(DCA)の設計によって新しく生まれ変わりました。地下7階・地上22階建て・高さ110mの立方体形状のタワーは中庭を中心に据えた空間構成で、外装に特徴的なルーバーをまとっています。
白磁をモチーフにし龍山を代表する建築物となったアモーレパシフィック本社の新社屋で、韓国の陶磁器をモチーフに自然と人の調和を表現しています。
実際に外観を見ると「正方形の巨大な白いビル」という印象ですが、ルーバー(格子状のひさし)が外壁に規則正しく配置されていて時間帯・光の加減によって表情が変わる美しい建物です。
建物内部は一般開放されていて、1階の美術館・2階のアモーレストア・地下1階のカフェなどを無料で楽しめます。




設計者|デイヴィッド・チッパーフィールド(イギリス)
デイヴィッド・チッパーフィールドは2023年にプリツカー賞を受賞したイギリスを代表する建築家です。歴史的建築物の修復・再生を得意とし、「建築の誠実さ」を追求するデザインが世界的に評価されています。
デイヴィッド・チッパーフィールドの他の代表作 ノイエス・ミュージアム改修(ドイツ・ベルリン) アメリカズカップ・パビリオン(スペイン・バレンシア) ロサンゼルスの「K-Project」オフィスビル(アメリカ)
住所:ソウル特別市龍山区漢江大路100
最寄駅:地下鉄4号線「新龍山駅」直結
開館時間:美術館10:00〜18:00(月曜休館)
入館料:美術館15,000ウォン(一般)・アモーレストアは無料
③ SONGEUN Art and Cultural Foundation|ヘルツォーク&ド・ムーロン設計の松の木目を刻んだ傑作
江南エリア・清潭洞に建つソンウン芸術文化財団の複合文化スペース「SONGEUN」は2021年にオープンし、設計はロンドンのテート・モダンや東京のプラダ青山などアーティスティックな建築を生み出すスイスのヘルツォーク&ド・ムーロンによるものです。ソンウン(松隠)の名にちなみ、重厚な外壁にはマツの木目パターンが刻まれています。
カンナムの大通りに目を引く建物があり、堅牢な外壁そして鋭角に切り立った壁面がヘルツォーク&ド・ムーロンによる建築のSTソンウンビルの特徴です。
訪れた日は残念ながら休館日でしたが、外観だけでも十分な見応えがありました。カンナムのラグジュアリーブランドが立ち並ぶ大通りに突然現れる異質な存在感のある建物で、思わず立ち止まって見上げてしまいました。



設計者|ヘルツォーク&ド・ムーロン(スイス)
ヘルツォーク&ド・ムーロンはジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンによるスイスの建築設計事務所で、2001年にプリツカー賞を受賞しています。素材の質感・テクスチャーへの徹底したこだわりが世界的に高く評価されています。
ヘルツォーク&ド・ムーロンの他の代表作 テート・モダン(イギリス・ロンドン) プラダ青山(日本・東京) 北京国立競技場(鳥の巣)(中国・北京) エルプフィルハーモニー・ハンブルク(ドイツ)
住所:ソウル特別市江南区島山大路441
最寄駅:地下鉄7号線「清潭駅」から徒歩約5分
開館時間:火〜土曜11:00〜19:00(月曜・日曜休館)
入館料:無料
④ ピョルマダン図書館|COEXモール内に広がる高さ13mの圧巻の本棚空間
江南・COEXモール内にあるピョルマダン図書館(Starfield Library)はCOEXセントラルプラザの中央にある総面積2,800平方メートルの複層構造の施設で、高さ13メートルの書架の淡い色彩がスペース全体を柔らかく包み込む憩いの書斎をコンセプトにしています。約5万冊の蔵書を配架しており1階は文学・人文学、地下1階には趣味・実用書関連の書籍があります。
ショッピングモールの中に突然現れる高さ13メートルの巨大な本棚は圧巻のひとこと。実際に足を踏み入れると「本当にここが図書館なのか?」と感じるほど洗練された空間でした。本好きでも建築好きでもない人でも必ず「すごい!」と声が出るスポットです。




設計概要
ピョルマダン図書館はCOEXモールのリニューアルに伴い2017年にオープンしました。運営はスターフィールド(新世界グループ傘下)で、書架のデザインは大型商業施設のインテリアデザインを手がけた韓国国内のデザインチームが担当しています。
COEXモール自体の建築はポストモダン建築の特徴を持つ大型複合施設で、江南エリアの都市開発を象徴する建物のひとつです。
住所:ソウル特別市江南区奉恩寺路524
最寄駅:地下鉄2号線「三成駅」から直結
開館時間:10:30〜22:00
入館料:無料
⑤ 東大門デザインプラザ(DDP)|ザハ・ハディド設計の未来都市を思わせる曲線建築
旅行記の中では車窓から眺めた東大門デザインプラザ(DDP)ですが、建築好きなら外観だけでも絶対に見てほしいソウルを代表する現代建築です。
「ザハ・ハディド・アーキテクツ」が設計したDDPは、流線型の曲線が複雑に絡み合う宇宙船のような外観が印象的で、2014年の完成当時から世界的に注目を集めました。夜のライトアップは特に美しく、昼間とはまた違う幻想的な顔を見せます。





設計者|ザハ・ハディド(イラク・イギリス)
ザハ・ハディドは2004年にプリツカー賞を受賞した女性初の建築家で「解体主義建築(デコンストラクティビズム)」の代表的存在です。直線をほぼ使わない流動的な曲線と鋭角を組み合わせた独特のデザインが世界中で高く評価されました。2016年に急逝しましたが、その建築への影響は現在も世界中に広がっています。
ザハ・ハディドの他の代表作 広州オペラハウス(中国) ロンドン・アクアティクスセンター(イギリス) MAXXI国立21世紀美術館(イタリア・ローマ) 東京オリンピックスタジアム(当初案・後に白紙撤回)
住所:ソウル特別市中区乙支路281
最寄駅:地下鉄2・4・5号線「東大門歴史文化公園駅」直結
開館時間:施設・展示により異なる
外観見学:24時間可能・無料
ソウル建築めぐりのモデルコース
半日コース(梨泰院・龍山エリア) リウム美術館 → アモーレパシフィック本社(徒歩+地下鉄で約20分)
半日コース(江南エリア) SONGEUN → ピョルマダン図書館(地下鉄で約15分)
1日コース(ソウル全体) リウム美術館 → アモーレパシフィック本社 → SONGEUN → ピョルマダン図書館 → 東大門デザインプラザ(夜景)
まとめ|ソウルは世界最高水準の現代建築が集まる建築の聖地
今回のソウル旅行で訪れた建築スポットの設計者を並べると、プリツカー賞受賞者だらけという驚くべき事実があります。
マリオ・ボッタ・ジャン・ヌーヴェル・レム・コールハース・デイヴィッド・チッパーフィールド・ヘルツォーク&ド・ムーロン・ザハ・ハディドと、ソウルにはまさに世界最高水準の建築家たちの傑作が集まっています。
グルメ・ショッピングだけじゃないソウルの魅力をぜひ建築という視点からも楽しんでみてください!


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