こんにちは!2023年6月の長野旅行で訪れた建築スポットをまとめました。
長野は白馬・安曇野・茅野・松本と各エリアに個性豊かな建築が点在する建築好きにとって宝の山のような場所です。今回の旅では隈研吾・内藤廣・古谷誠章・伊東豊雄と日本を代表する建築家4人の作品を一度の旅で体験できました。
長野は建築の宝庫
長野県は安藤忠雄や谷口吉生、隈研吾など有名建築家による豊かな自然と調和する美術館や公共施設が多く建てられています。北アルプスの雄大な自然と建築が共存するロケーションは長野ならではの魅力で、建築単体だけでなく周囲の景観と合わせて楽しめるのが長野建築めぐりの醍醐味です。
① スノーピーク ランドステーション白馬|隈研吾設計・白馬三山を額縁に収める体験型施設・2020年竣工
訪問:2023年6月
「人々を迎え入れる森の大屋根」をコンセプトに大屋根を支える森の木々をイメージした木組を内外に展開しています。自然素材を活かしたインテリアを展開し、白馬三山の眺望と周囲の自然を取り込む大きな開口を設けることで室内にいても森の中にいることを感じられる、白馬村の新たなシンボルとなるよう計画しました。
屋根は白馬三山を綺麗に切り取るように計算し額縁効果を狙って設計しています。
実際に訪れると、建物の大きな開口部から白馬三山がまるで額縁に収められた絵画のように見える体験に感動しました。スターバックスのカウンター越しに北アルプスを眺めながらコーヒーを飲むという「建築が景色を最大限に引き出す」隈研吾らしい空間設計が見事でした。
建築年:2020年7月竣工・グランドオープン
設計:隈研吾建築都市設計事務所(日本)
施工:白馬観光開発株式会社・スノーピーク共同プロジェクト
住所:長野県北安曇郡白馬村北城3020-14
アクセス:JR「白馬駅」から徒歩約10分


設計者|隈研吾(1954年〜)
隈研吾は梼原町との出会いで木材・自然素材を徹底的に使いこなす建築スタイルを確立した日本を代表する建築家です。スノーピークとは「モバイルハウス 住箱」に続く2度目のコラボレーションとなりました。
隈研吾の他の代表作
国立競技場(日本・東京、2019年)
梼原町の建築群(日本・高知、1994〜2018年)
根津美術館(日本・東京、2009年)
V&Aダンディー(スコットランド、2018年)
② 安曇野ちひろ美術館|内藤廣設計・北アルプスと溶け合う絵本の空間・1997年竣工
訪問:2023年6月
安曇野ちひろ美術館の建物は信州の風土に溶け込むように設計され25年の歳月とともに飴色に変化した材木は長野産のカラマツを、壁には松川村の砂を混ぜた珪藻土を使っています。設計を手がけた建築家・内藤廣は「建てた瞬間がいちばん美しい建物をつくりたいとは思わない、建物はひとの一生をはるかに超えて存在し、使われつづけることによって、何かを生み出すものだ」ということばを寄せています。
敷地との関係からこの形態がいちばん低く見えて敷地に対する座りが良いことから決定された外観は切妻の三角屋根が連続しています。背景の北アルプスの山々とも重なり建物の存在感を最小に留めることで伸びやかな環境ができています。
「建物の存在感を最小にして風景に溶け込む」という設計者の言葉の通り、切妻屋根が連続する外観は遠くから見ると北アルプスの稜線に自然に溶け込んでいます。いわさきちひろの優しい絵の世界観と建築がここまで一体になった美術館は他に類がありません。
建築年:1993年設計・1996年竣工・1997年4月全面完成
設計:内藤廣建築設計事務所(日本)
住所:長野県北安曇郡松川村西原3358-24
アクセス:JR大糸線「信濃松川駅」から徒歩約30分(タクシー5分)
開館時間:9:00〜17:00(月曜休館・12〜3月冬期休館)
入館料:大人1,000円・中学生以下無料


設計者|内藤廣(1950年〜)
内藤廣は早稲田大学大学院修了後スペインのフェルナンド・イゲーラス建築事務所・菊竹清訓建築設計事務所を経て独立した建築家です。素材と時間の関係を深く考察し「建てた瞬間より時間が経つほど美しくなる建築」を追求しています。
内藤廣の他の代表作
海の博物館(日本・三重、1992年)
牧野富太郎記念館(日本・高知、1999年)
島根県芸術文化センター「グラントワ」(日本・島根、2005年)
富山県美術館(日本・富山、2017年)
③ 茅野市民館|古谷誠章設計・JR茅野駅に直結する市民の「縁側」・2005年竣工
訪問:2023年6月
茅野市民館は茅野市が同市民館条例に基づく市民の生涯学習及び地域文化の振興のための拠点施設として2005年10月1日に開業しました。劇場・音楽ホール・茅野市美術館・スタジオ・図書室・レストランなどさまざまな機能を合わせ持ちます。設計は建築家古谷誠章です。2007年に日本建築学会賞・日本建築家協会賞を受賞し2011年に日本芸術院賞を受賞しました。
JR茅野駅の橋上駅舎から直接つながる「まちの縁側」というコンセプトが実に見事に実現しています。鉄道駅と文化施設が一体となった設計は、市民が日常的に文化に触れられる場をつくるという思想を建築として形にした傑作です。実際に歩いてみると駅から自然に館内に吸い込まれる動線が心地よかったです。
建築年:2005年竣工・10月1日開業
設計:古谷誠章(NASCA)(日本)
照明デザイン:面出薫 住所:長野県茅野市塚原1丁目1-1
アクセス:JR「茅野駅」東口直結
受賞歴:日本建築学会賞(2007年)・日本建築家協会賞(2007年)・日本芸術院賞(2011年)


設計者|古谷誠章(1955年〜)
古谷誠章は早稲田大学大学院修了後吉阪隆正の研究室に在籍し独立した建築家で、現在は早稲田大学理工学術院教授を務めています。「ひとびとの生活に寄り添い開かれた建築」を追求するスタイルが特徴的で茅野市民館はその代表作として広く知られています。
古谷誠章の他の代表作
延岡駅周辺複合施設emCAMPUS(日本・宮崎、2021年)
新見美術館(日本・岡山、1984年)
沖縄・浦添市美術館(日本・沖縄、1990年)
④ 信毎メディアガーデン|伊東豊雄設計・松本の街に開かれた新聞社の「櫓」・2018年竣工
訪問:2023年6月(外観)
信毎メディアガーデンは信濃毎日新聞松本本社として長野県出身の世界的建築家伊東豊雄氏が設計しました。全体の6割が一般に開放されており本町通りに面した前広場や低層階はイベント会場や店舗などのコミュニケーションゾーンになっています。この地の歴史や伝統的なものを蘇らせる形として「櫓」のイメージが採用されたといいます。外観は西日を和らげるためのルーバーや上層の窓枠の木を使った格子状の意匠が印象的です。
また太陽光発電の導入や敷地内に流れる蛇川の湧水を空調に使うなど省エネルギーや環境問題にも配慮しています。
「松本の街の新しい縁側になる」というコンセプト通り、外観から一目で「人を呼び込もうとしている建物」という印象を受けました。松本城から徒歩圏内という立地に、現代的なルーバーと木の格子が城下町の歴史に敬意を払うように組み合わさっています。
建築年:2018年4月28日竣工
設計:伊東豊雄建築設計事務所(日本)
施工:北野建設株式会社
住所:長野県松本市中央2-20-2
アクセス:JR「松本駅」から徒歩約8分
営業時間:平日11:00〜19:00・土日祝10:00〜19:00

設計者|伊東豊雄(1941年〜)
1941年京城(現ソウル)生まれ、長野県下諏訪町で育ちます。1965年東京大学工学部建築学科を卒業。主な作品に「せんだいメディアテーク」(宮城)、「まつもと市民芸術館」(長野)、「みんなの森ぎふメディアコスモス」(岐阜)、「台中国家歌劇院」(台湾)など。日本建築学会賞・ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞・プリツカー建築賞など受賞しています。
長野県下諏訪町で育った伊東豊雄にとって信毎メディアガーデンは故郷・長野への恩返しともいえる作品です。また松本市にはまつもと市民芸術館(2004年)という先行作品もあり、信毎メディアガーデンは松本における伊東豊雄の2棟目の建築です。
伊東豊雄の他の代表作
せんだいメディアテーク(日本・宮城、2001年)
まつもと市民芸術館(日本・長野、2004年)
みんなの森ぎふメディアコスモス(日本・岐阜、2015年)
台中国家歌劇院(台湾、2016年)
長野建築めぐりのモデルコース
白馬エリア(半日)
スノーピークランドステーション白馬 → 白馬八方尾根周辺散策
安曇野エリア(半日)
安曇野ちひろ美術館 → 大王わさび農園 → 穂高神社
茅野・松本エリア(1日)
茅野市民館 → 御射鹿池 → 松本城 → 信毎メディアガーデン
1泊2日コース
1日目:白馬 → 安曇野
2日目:茅野 → 松本
長野で出会った建築家まとめ
隈研吾(日本) → スノーピークランドステーション白馬(2020年)
内藤廣(日本) → 安曇野ちひろ美術館(1997年)
古谷誠章(日本) → 茅野市民館(2005年)
伊東豊雄(日本) → 信毎メディアガーデン(2018年)
まとめ|長野は日本を代表する建築家4人の傑作が1つの旅で体験できる
今回の長野旅行で訪れた4棟の建築は設計者も竣工年もコンセプトもまったく異なりながら、いずれも「長野の風土・自然と建築の関係」を深く考えた作品でした。
北アルプスを額縁に収めるスノーピークランドステーション・風景に溶け込む安曇野ちひろ美術館・まちの縁側となる茅野市民館・城下町に開く信毎メディアガーデン。4人の建築家が4つの異なるアプローチで「長野らしい建築」を実現した旅は一生の宝物です。
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