【大阪建築めぐり】旅で出会った世界的建築家の傑作7選|安藤忠雄・原広司・シーザー・ペリ・遠藤克彦(2025年9月訪問)

建物探訪

こんにちは!2025年9月の大阪旅行で訪れた建築スポットをまとめました。

大阪は世界的建築家・安藤忠雄の出身地であり活動拠点でもあります。中之島エリアを中心に世界的建築家の傑作が密集していて、建築好きにとって日本国内最高水準の建築めぐりが楽しめる都市のひとつです。

大阪が建築の聖地である理由

大阪は安藤忠雄が「住吉の長屋」で世界に名を知らしめた場所であり、現在も安藤忠雄建築研究所が大阪・北加賀屋に拠点を置いています。さらに中之島エリアには国立国際美術館・大阪中之島美術館・こども本の森中之島と世界的建築家の傑作が集中し、梅田には英国タイムズ紙「世界の建築TOP20」に選ばれた梅田スカイビルが立ちます。

① 住吉の長屋|安藤忠雄の原点・コンクリートの箱が建築史を変えた・1976年竣工

訪問:2025年9月(外観)

安藤忠雄が世界に名を知らしめた記念碑的な建築です。大阪市住吉区の住宅街にある三軒長屋の真ん中の1軒を切り取り、敷地の中央3分の1を中庭としたコンクリートの小住宅です。

間口2間・奥行8間といううなぎの寝床のような敷地に総工費1,000万円以下という厳しい条件の中で、「機能性や便利さを犠牲にしてでも豊かな空間を作る」という安藤忠雄の哲学が凝縮されています。中庭があるため雨の日は傘を差さないとトイレに行けないという「使いにくさ」が逆に「住宅とは何か」を問いかける建築として世界中で評価されました。

1979年に日本建築学会賞を受賞してから安藤忠雄の名は世界に知られるようになり、この小さな住宅が現在の安藤忠雄を生んだといえます。現在も個人邸として使用されているため内部見学は不可ですが、外観を見るだけでも建築史上重要な場所を訪れる感慨があります。

建築年:1976年2月竣工
設計:安藤忠雄建築研究所(日本)
住所:大阪府大阪市住吉区住吉2丁目13-11周辺
見学:外観のみ(内部非公開・個人邸)

② ICHION CONTEMPORARY|安藤忠雄設計・幅3メートルの極細コンクリートギャラリー・2024年竣工

訪問:2025年9月

2025年1月にオープンしたばかりの安藤忠雄建築研究所設計の現代アートギャラリーです。大阪・東梅田の路地に建つ幅約3メートルという極細の縦長コンクリート建築で、住吉の長屋と同じく「狭小敷地に豊かな空間を作る」という安藤忠雄の哲学が半世紀後も変わらず続いていることを示す最新作です。

「芸術が奏でる感性の波長が、ひとつの音のように人々の心に響き、新たな文化の波を生み出す」というコンセプトのもと、大阪・関西の前衛芸術を築いたアーティストたちの作品を中心に展示しています。こけら落としは具体美術協会の作品展でした。

安藤忠雄建築研究所の最新作を住吉の長屋と同じ訪問日に見ることで「1976年から2024年まで変わらない安藤忠雄の空間哲学」を体感できる貴重な体験でした。

建築年:2024年竣工・2025年1月開館
設計:安藤忠雄建築研究所(日本)
住所:大阪府大阪市北区野崎町9-7
アクセス:Osaka Metro谷町線「東梅田駅」から徒歩約8分
開館時間:火〜土曜11:00〜18:00(月・日曜休館)
入館料:無料

③ こども本の森 中之島|安藤忠雄設計・子どもたちへの贈り物・2020年竣工

訪問:2025年9月

安藤忠雄が大阪市に寄付した子ども向け図書館施設です。建物の設計・建設費用を安藤忠雄が寄付し大阪市に贈ったという経緯が特別な意味を持ちます。

木・虫・宇宙・食など13のテーマに分かれた本棚が天井まで届く書架に並ぶ内部空間は、子どもたちが本の世界に飛び込むような体験を作り出しています。「森の中に本がある」という空間コンセプトは安藤忠雄らしい自然と建築の融合です。大阪の子どもたちへの「心の森」という安藤忠雄の思いが込められた作品です。

建築年:2018年設計・2020年7月開館
設計:安藤忠雄建築研究所(日本)
住所:大阪府大阪市北区中之島1-1-28
アクセス:京阪「なにわ橋駅」から徒歩約1分
開館時間:10:00〜17:00(月・火曜休館)
入館料:無料(要予約)

設計者|安藤忠雄(1941年〜)

大阪生まれ。独学で建築を学び1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。コンクリートの打ち放しと光・水・自然を組み合わせた独自スタイルが世界的に高く評価され1995年にプリツカー賞を受賞。今回の訪問で住吉の長屋(1976年)からICHION CONTEMPORARY(2024年)まで約50年にわたる安藤建築を一度の旅で体験できました。

安藤忠雄の他の代表作
光の教会(日本・大阪、1989年)
地中美術館(日本・直島、2004年)
表参道ヒルズ(日本・東京、2006年)
横倉山自然の森博物館(日本・高知、1997年)※高知建築記事でも登場
鹿児島大学 稲盛会館(日本・鹿児島、1994年)※鹿児島建築記事でも登場
熊本県立装飾古墳館(日本・熊本、1992年)※熊本建築記事でも登場

④ 安藤忠雄建築研究所|旧富島邸をリノベーションした建築家の拠点・1991年改修

訪問:2025年9月(外観)

安藤忠雄建築研究所は大阪市西区の旧富島邸という明治期の洋館をリノベーションして使用しています。コンクリートの増築部分と歴史ある洋館が融合した外観は安藤建築研究所ならではの存在感があります。

「建築家が住吉の長屋を建てた同じ大阪で今も活動し続けている」という事実を建物の前に立って実感できる特別な場所です。内部は非公開ですが建物の前に立つだけで安藤忠雄の仕事場を感じることができます。

建築年:明治期建設・1991年改修
設計:安藤忠雄建築研究所(日本)
住所:大阪府大阪市西区江戸堀1-9-20周辺
見学:外観のみ

⑤ 国立国際美術館|シーザー・ペリ設計・世界でも稀な完全地下型美術館・2004年竣工

訪問:2025年9月

大阪・中之島に建つ国立国際美術館は1977年に大阪万博の万博記念公園内に開館し2004年に現在地に移転した完全地下型美術館です。地上に見えるのは竹の生命力と現代美術の発展をイメージした曲線状のステンレス製モニュメントだけで展示室はすべて地下に設けられています。

ガラス張りの天井から地下3階まで自然光が降り注ぐ吹き抜け空間は地下美術館とは思えない開放感があります。「地下であることを意識させない」という設計の思想が細部に宿っていて、地下に潜っていくほど光と空間が豊かになるという体験が印象的でした。

建築年:2004年竣工(中之島移転リニューアル)
設計:シーザー・ペリ(アルゼンチン・アメリカ、1926〜2019年)
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
開館時間:10:00〜17:00(金・土は20:00まで、月曜休館)
入館料:常設展 大人430円・大学生130円・高校生以下無料

設計者|シーザー・ペリ(1926〜2019年)

アルゼンチン・トゥクマン生まれ。アメリカを拠点に活躍した建築家で曲線と金属素材を印象的に使うデザインが特徴。超高層ビルや都市のランドマーク建築を多数手がけました。2019年に92歳で逝去。

シーザー・ペリの他の代表作
ペトロナスツインタワー(マレーシア・クアラルンプール、1998年)
ワールドファイナンシャルセンター(アメリカ・ニューヨーク、1988年)
あべのハルカス(日本・大阪、2014年)

⑥ 大阪中之島美術館|遠藤克彦設計・真っ黒な直方体が中之島に浮かぶ・2022年開館

訪問:2025年9月

国立国際美術館の隣に建つ大阪中之島美術館は2016〜17年のコンペを経て遠藤克彦建築研究所が設計した黒い直方体の美術館です。2022年2月2日に開館し開館年に2022年度JIA日本建築大賞を受賞した現代建築の傑作です。

黒いプレキャストコンクリートパネルで覆われた外観は中之島のどんな建物とも似ていない強烈な存在感があります。内部は1階から5階を貫く「パッサージュ」と呼ばれる巨大な吹き抜け空間が建物の背骨となっていて、エスカレーターで上り下りするたびに異なる視点から空間を楽しめます。

設計者・遠藤克彦は「外観は黒くして建物内部の人々の営みを強調した」と語っており「閉じた外観・開いた内部」という対比が建築の核心をなしています。

建築年:2021年6月竣工・2022年2月開館
設計:遠藤克彦建築研究所(日本)
受賞歴:2022年度JIA日本建築大賞
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開館時間:10:00〜17:00(月曜休館)
入館料:常設展 大人500円・高校生以下無料

設計者|遠藤克彦(1964年〜)

東京大学大学院修了後に丹下健三・都市・建築研究所を経て遠藤克彦建築研究所を設立。大阪中之島美術館は国際コンペを経て選ばれた代表作で日本の現代建築を代表する建築家として国内外で評価されています。

⑦ 梅田スカイビル|原広司設計・世界初の連結超高層・英タイムズ紙「世界の建築TOP20」・1993年竣工

訪問:2025年9月

2棟の超高層ビルの頂部を「空中庭園展望台」でつないだ世界初の連結超高層ビルです。英国タイムズ紙が選ぶ「世界の建築TOP20」にパルテノン神殿・コロッセオ・アンコール・ワットと並んで日本で唯一選出された世界的な名建築です。

設計者の原広司はマヤ文明の遺跡「ティカルのピラミッド」の頂上から見た体験をヒントにこの「空中庭園幻想」を着想したと語っています。2棟のビルを地上で組み立てられた空中庭園をワイヤーロープでつり上げる「リフトアップ工法」という前代未聞の工法で建設されました。

空中庭園展望台は屋根のない開放型の展望台で360度の眺望と全天の空を直接感じられます。設計者の原広司は「実は3棟連結が本来の計画で2棟は未完の状態」と語っており、これからも増築の可能性が残るという建築史上稀有な「未完の名建築」でもあります。

建築年:1990年着工・1993年3月竣工
設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究所(日本)・木村俊彦構造設計事務所・竹中工務店
施工:竹中工務店・大林組・鹿島建設・青木建設JV
住所:大阪府大阪市北区大淀中1-1-88
アクセス:JR「大阪駅」から徒歩約10分
空中庭園展望台:10:00〜22:30
入場料:大人1,500円

設計者|原広司(1936〜2025年)

神奈川県川崎市生まれ。東京大学名誉教授。世界中の集落調査を基盤に独自の建築理論を構築し梅田スカイビル・京都駅ビル・札幌ドームなど日本を代表する巨大建築を手がけました。2025年1月3日、88歳で逝去。

原広司の他の代表作
京都駅ビル(日本・京都、1997年)
札幌ドーム(日本・北海道、2001年)
ヤマトインターナショナル(日本・東京、1986年)

大阪建築めぐりのモデルコース

中之島エリア(半日)
こども本の森中之島 → 国立国際美術館 → 大阪中之島美術館(すべて徒歩圏内)

梅田・北加賀屋エリア(半日)
梅田スカイビル → 安藤忠雄建築研究所(外観)→ ICHION CONTEMPORARY

住吉エリア(半日)
住吉の長屋(外観)→ 住吉大社参拝

1日コース
午前:中之島エリア3棟
午後:梅田スカイビル → ICHION CONTEMPORARY → 安藤忠雄建築研究所(外観)

大阪で出会った建築家まとめ

安藤忠雄(日本・1941年〜) → 住吉の長屋(1976年)・こども本の森中之島(2020年)・ICHION CONTEMPORARY(2024年)・安藤忠雄建築研究所(1991年改修)
シーザー・ペリ(アルゼンチン・アメリカ・1926〜2019年) → 国立国際美術館(2004年)
遠藤克彦(日本・1964年〜) → 大阪中之島美術館(2022年)
原広司(日本・1936〜2025年) → 梅田スカイビル(1993年)

まとめ|大阪は安藤忠雄の原点にして世界的建築家の傑作が集まる建築都市

今回の大阪旅行で最も印象的だったのは住吉の長屋(1976年)とICHION CONTEMPORARY(2024年)という安藤忠雄の約50年にわたる仕事を同じ旅で体験できたことです。

小さなコンクリートの住宅から始まり世界的な建築家となった安藤忠雄が今なお大阪を拠点に新しい建築を生み出し続けているという事実は、大阪という街の建築文化の豊かさを象徴しています。

中之島の3棟・梅田スカイビル・住吉の長屋とめぐるだけで世界最高水準の建築を体験できる大阪は、建築好きにとって日本で最も密度の高い建築聖地のひとつです!

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