こんにちは!2022年9月の鹿児島旅行で訪れた建築スポットをまとめました。
鹿児島は霧島・鹿児島市内・指宿と広いエリアにわたって、プリツカー賞受賞建築家の傑作が点在する建築好き必訪のエリアです。今回の旅では黒川紀章・槇文彦・安藤忠雄・坂倉建築研究所・みかんぐみと多彩な建築家の作品を体験しました。
① ホテル京セラ鹿児島|黒川紀章設計・地上60mから光が降り注ぐ大アトリウムが圧巻・1995年竣工
訪問:2022年9月(宿泊)
鹿児島空港から車で約18分の霧島エリアに建つホテル京セラは、日本を代表する建築家・黒川紀章氏が設計したモダンな大型ホテルです。
巨大な楕円形の本館と正方形の別館が長い渡り廊下でつながれた構成が特徴的です。本館の側面はガラスのカーテンウォールで覆われていて、地上60メートルから光が降り注ぐ開放的な大アトリウムが訪れる人を出迎えます。「共生」という黒川紀章の建築哲学のもと、霧島の自然環境との調和を図りながら設計されています。
建築年:1995年竣工
設計:黒川紀章建築都市設計事務所(日本)
住所:鹿児島県霧島市隼人町日当山1700
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設計者|黒川紀章(1934〜2007年)
愛知県生まれ。京都大学工学部建築学科卒業・東京大学大学院修了。1960年代にメタボリズム運動の旗手として世界に注目され「共生の思想」を建築で体現した建築家です。2007年逝去。
黒川紀章の他の代表作
中銀カプセルタワービル(日本・東京、1972年)
国立新美術館(日本・東京、2007年)
福井県立恐竜博物館(日本・福井、2000年)
広島市現代美術館(日本・広島、1989年)
クアラルンプール国際空港(マレーシア、1998年)
② みやまコンセール(霧島国際音楽ホール)|槇文彦設計・「奇跡のホール」と称賛された音響の殿堂・1994年竣工
訪問:2022年9月(外観)
霧島の大自然の中に「外洋に乗り出す船」のような姿で佇む霧島国際音楽ホール。愛称「みやまコンセール」は「霧島国際音楽祭」の主会場として毎年世界的な演奏家を迎えます。
設計は1993年にプリツカー賞を受賞した槇文彦氏です。「木の葉型の平面」と「舟底型の断面」という2つの幾何学が組み合わさった外観は、55,000平方メートルの広大な敷地と霧島の山々の景色と見事に呼応しています。国際音響学会で「奇跡のホール」と称賛された音響は建築と一体設計の賜物で、音響設計は安藤四一氏が担当しました。
外観を見た瞬間「これが鹿児島の山の中にある公共建築なのか」と驚きました。建築と音楽が高次元で融合したこの場所は、実際にコンサートを聴きに来る価値がある建築です。
建築年:1994年竣工(7月22日開館)
設計:槇文彦(槇総合計画事務所)(日本)
音響設計:安藤四一
受賞歴:BCS賞・優良ホール100選
住所:鹿児島県霧島市牧園町高千穂3311-29
入館料:外観は無料(コンサートは有料)

設計者|槇文彦(1928〜2024年)
1928年東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後ハーバード大学大学院を修了し1965年に槇総合計画事務所を設立。モダニズムの思想を受け継ぎながら日本の伝統的な空間概念「奥」を建築に取り入れた作品で世界的に高い評価を受け1993年にプリツカー賞を受賞しました。2024年6月、95歳で逝去。
槇文彦の他の代表作
幕張メッセ(日本・千葉、1989年)
スパイラル(日本・東京、1985年)
ヒルサイドテラス(日本・東京、1969〜1992年)
東京体育館(日本・東京、1990年)
風の丘葬斎場(日本・大分、1997年)
③ マルヤガーデンズ|みかんぐみによるリノベーション・「ガーデン」を各階に持つ商業施設・2010年リノベーション竣工
訪問:2022年9月(外観)
天文館にある築50年超の丸屋百貨店を大胆にリノベーションした商業施設です。外壁をツタ植物で緑化しながら各フロアに「ガーデン」と呼ばれるオープンなコミュニティスペースを設けた設計は、商業施設としての機能と地域のコミュニティ拠点としての機能を一体化した鹿児島の新しい街の拠点となっています。
内装材には薩摩焼や地場の間伐材など鹿児島ならではの素材を積極的に使用していて「鹿児島らしい再生」を体現した建築です。グッドデザイン賞・BELCA賞ベストリフォーム部門を受賞しています。
建築リノベーション年:2010年竣工
リノベーション設計:みかんぐみ(竹内昌義・マニュエル・タルディッツ・曽我部昌史・加茂紀和子)(日本)
ディレクション:ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT PROJECT)
コミュニティデザイン:山崎亮(Studio L)
受賞歴:グッドデザイン賞・BELCA賞ベストリフォーム部門
住所:鹿児島県鹿児島市呉服町6-5
アクセス:鹿児島市電「天文館通駅」から徒歩約3分

設計者|みかんぐみ
みかんぐみは竹内昌義・マニュエル・タルディッツ・曽我部昌史・加茂紀和子の4名による建築設計事務所で、大学教育・研究と実践を組み合わせた活動が特徴的です。既存建物の改修・再生を得意とし「場所の記憶を活かした建築」を追求しています。
④ 鹿児島カテドラル ザビエル記念聖堂|坂倉建築研究所設計・帆船をモチーフにした現代の聖堂・1999年竣工
訪問:2022年9月(車窓から)
1549年にフランシスコ・ザビエルが日本で最初にキリスト教を伝えた地・鹿児島に建つ記念聖堂です。ザビエル渡航450年を記念したコンペで坂倉建築研究所の案が最優秀に選ばれ1999年に竣工しました。
切妻屋根のような外観はザビエルが日本に渡来した帆船をイメージしたファサードで、大聖堂内部には青と赤のステンドグラスから入る光が幻想的な空間を作り出しています。「刻々と移り変わる色彩の変化が自然と神からの人々への語りかけになれば」という設計者の思いが込められた作品です。
建築年:1999年竣工
設計:坂倉建築研究所(日本)
住所:鹿児島県鹿児島市照国町13-42
アクセス:鹿児島市電「天文館通駅」から徒歩約5分 入場料:無料

設計者|坂倉建築研究所
坂倉建築研究所は、ル・コルビュジエのアトリエで学んだ坂倉準三(1901〜1969年)が設立した建築設計事務所です。坂倉準三は戦後日本のモダニズム建築を牽引した建築家で、新宿駅西口広場・神奈川県立近代美術館などが代表作として知られています。
⑤ 鹿児島大学 稲盛会館|安藤忠雄設計・コンクリートの卵が宙に浮かぶ衝撃の建築・1994年竣工
訪問:2022年9月(外観)
鹿児島大学のキャンパス内に建つ稲盛会館は、京セラ・KDDIの創業者として知られる稲盛和夫氏の寄付によって建てられた施設です。「コンクリートの詩人」安藤忠雄が設計しました。
ガラス壁から卵型のコンクリートが突き出すように飛び出した外観は「これが大学の施設なのか?」と思わず二度見してしまうほどのインパクトがあります。卵型の内部はホールとなっており、壁には光ファイバーによる自然光が無数に設置されています。安藤忠雄らしいコンクリートと光の使い方が凝縮した傑作です。
建築年:1994年竣工
設計:安藤忠雄建築研究所(日本)
住所:鹿児島県鹿児島市郡元1-21-40
アクセス:市電「郡元駅」から徒歩約5分
入館料:外観は無料


設計者|安藤忠雄(1941年〜)
独学で建築を学んだ大阪出身の建築家で1995年にプリツカー賞を受賞しています。コンクリートの打ち放しと光・水・自然を組み合わせた独自スタイルが世界的に高く評価されています。
安藤忠雄の他の代表作
光の教会(日本・大阪、1989年)
地中美術館(日本・直島、2004年)
表参道ヒルズ(日本・東京、2006年)
横倉山自然の森博物館(日本・高知、1997年)※高知建築記事でも登場
⑥ 岩崎美術館|槇文彦設計・JIA25年賞を受賞した指宿の美術館・1978年竣工
訪問:2022年9月(外観)
指宿のリゾートホテル「いわさきホテル」の敷地内に建つ美術館で、みやまコンセールと同じく槇文彦氏が設計した鹿児島の2棟目の槇建築です。
十字形の鉄骨を使用したエントランスが特徴の本館と曲面の屋根を持つ工芸館からなる建物で、地下には2つの建物をつなぐ連絡通路が設けられています。南欧のヴィラをイメージした空間と日本的な繊細さが共存する「対比的な空間表現」が槇文彦建築の真骨頂です。
「25年以上にわたり建築の存在価値を発揮し美しく維持され地域社会に貢献してきた建築」に授与されるJIA25年賞を受賞した、時間の試練に耐えた傑作建築です。
建築年:1978年竣工
設計:槇文彦(槇総合計画事務所)(日本)
受賞歴:JIA25年賞
住所:鹿児島県指宿市十二町3755
開館時間:9:30〜17:00(月曜休館)
入館料:大人600円


鹿児島建築めぐりのモデルコース
霧島エリア(半日)
みやまコンセール → 鹿児島神宮周辺散策
鹿児島市内エリア(半日)
マルヤガーデンズ → ザビエル記念聖堂 → 稲盛会館 → ホテル京セラ鹿児島(すべて車で30分圏内)
指宿エリア(半日)
岩崎美術館 → 砂むし会館 砂楽 → いせえび荘
1泊2日コース
1日目:霧島エリア → 鹿児島市内 2日目:指宿エリア
鹿児島で出会った建築家まとめ
黒川紀章(日本・1934~2007年)→ ホテル京セラ鹿児島(1995年)
槇文彦(日本・1928〜2024年)→ みやまコンセール(1994年)・岩崎美術館(1978年)
安藤忠雄(日本・1941年〜) → 鹿児島大学 稲盛会館(1994年)
坂倉建築研究所(日本) → 鹿児島カテドラル ザビエル記念聖堂(1999年)
みかんぐみ(日本) → マルヤガーデンズ リノベーション(2010年)
まとめ|鹿児島はプリツカー賞建築家の傑作が集まる九州屈指の建築エリア
鹿児島には黒川紀章・槇文彦・安藤忠雄という3人のプリツカー賞受賞建築家の作品が集まるという建築ファンには特別な場所です。
特に槇文彦はみやまコンセール・岩崎美術館と2棟の傑作を鹿児島に遺しており、鹿児島という土地が世界的建築家を惹きつけてきた歴史を感じさせます。さらに坂倉建築研究所のザビエル記念聖堂・みかんぐみのマルヤガーデンズと個性豊かな建築が揃う鹿児島は旅行とセットで楽しめる建築の聖地です!
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