ハワイというと、青い海やビーチ、南国フルーツのイメージが強いかもしれませんが、実はホノルルのダウンタウンには、アメリカ本土とは一味違う建築様式の歴史的建造物がぎゅっと詰まっています。ハワイ王国時代の宮殿から、ヨーロッパ様式の教会、パンチの効いたピンク色のリゾートホテルまで、建築好きの視点で歩くと何倍も楽しめるのがハワイの魅力です。
ハワイ王国が西洋列強と渡り合うために積極的に取り入れた洋風建築、キリスト教の布教とともに広まった宗教建築、そして20世紀に入って花開いたリゾートホテル建築と、限られたエリアの中に複数の時代とスタイルが重なり合っているのもホノルルならではの見どころです。今回は、次にハワイへ行くなら押さえておきたい、建築好きにおすすめの建物を8つ厳選してご紹介します。
イオラニ宮殿|アメリカ唯一の王宮
まず外せないのが、アメリカ本土を含めても唯一の本格的な王宮建築であるイオラニ宮殿です。1882年にカラカウア王によって建てられ、1階は公式行事や外交パーティーの場、2階は王族の居住エリアとして使われていました。当時としては最先端の電気照明や水洗トイレ、電話が導入されていたことでも知られていて、ハワイ王国の栄華と近代化への意欲を感じられる建築です。1893年のクーデター以降は臨時政府や州政府の庁舎として使われた時期もあり、建物そのものがハワイの近代史を物語る存在になっています。敷地内にはイオラニ兵舎(1871年)やバンドスタンド(1883年)もあり、あわせて見学するのがおすすめです。
アリイオラニ・ハレ|ネオ・ルネサンス様式の司法庁舎
イオラニ宮殿の向かいに建つのが、現在ハワイ州最高裁判所として使われているアリイオラニ・ハレです。1874年にカメハメハ5世の王宮として計画され、オーストラリア人建築家によってネオ・ルネサンス様式でデザインされました。1893年の革命の際には暫定政府の樹立が宣言された場所としても知られ、政治の転換点を見届けてきた建物です。建物前に立つカメハメハ大王像もあわせて、写真映えするフォトスポットになっています。
ハワイ州議事堂|“開かれた社会”を表現した近代建築
1969年に完成したハワイ州議事堂は、ハワイの伝統建築とはまったく異なる、モダニズム建築の代表例です。メインロビーは大胆な吹き抜け構造になっていて、これは「あらゆる事物を受け入れる開かれた社会」というハワイの理念を建築で表現したものだといわれています。柱は椰子の木を、内部の池は太平洋を、円錐形の議場は火山をイメージしているなど、ハワイの自然や文化がデザインのモチーフとして随所に散りばめられているのも見どころです。平日は内部見学もできるので、歴史的建築と近代建築の対比を楽しみたい方にぴったりのスポットです。
アロハタワー|港のランドマークだった灯台兼時計塔
ホノルル港のシンボルとして1926年に完成したアロハタワーは、高さ約56m(184フィート)と、完成当時から約40年にわたってハワイで最も高い建物でした。灯台としての役割を持ちながら、全米最大級ともいわれる大きな時計を備えた時計塔でもあり、海路でオアフ島にやってくる旅行者を出迎える「歓迎の塔」として親しまれてきました。塔の壁に刻まれた「ALOHA」の文字は、今も港に入る船を出迎え続けています。最上階の展望台からはホノルル港とダウンタウンを一望できるので、街全体のスケール感をつかむのにもおすすめのスポットです。
カワイアハオ教会|サンゴ石でできた“ストーン・チャーチ”
1842年に建てられたオアフ島最初のキリスト教会がカワイアハオ教会です。壁にサンゴ石が使われていることから「ストーン・チャーチ」の愛称でも呼ばれていて、ハワイ王族の戴冠式や結婚式、葬儀が執り行われてきた由緒ある教会でもあります。西洋の宗教建築でありながら、地元で採れる素材を使って建てられているという点に、ハワイならではの建築のあり方を感じることができます。隣接するミッションハウスとあわせて訪れると、宣教師たちがハワイに与えた影響についても理解が深まります。
ロイヤルハワイアンホテル|“太平洋のピンク・パレス”
ワイキキビーチを歩けば誰もが目にする、鮮やかなピンク色のホテルがロイヤルハワイアンです。1927年、豪華客船でハワイへ渡ってくる富裕層をもてなすために建てられたこのホテルは、ニューヨークのグランド・セントラル駅も手がけた建築事務所ウォーレン&ウェットモアによる設計。スパニッシュ・ムーア様式(地中海リバイバル様式にムーア風の意匠を加えたスタイル)を採用していて、アーチを多用した優雅な外観と、ハワイの夕焼けや花々をイメージしたピンクの外壁が特徴です。周辺の高層ホテル群の中でひときわ目を引く「ピンクの王女」のような佇まいは、ワイキキの歴史的景観を語るうえで欠かせない存在です。
モアナサーフライダー|“ワイキキのファーストレディ”
ロイヤルハワイアンと並ぶワイキキの歴史的ホテルが、1901年開業のモアナサーフライダーです。ワイキキ最古のホテルであり、開業当時から電動エレベーターを備えるなど、当時としては画期的な設備を誇っていました。コロニアル様式のエレガントな白亜の外観から「ワイキキのファーストレディ」と称され、国の歴史登録財にも指定されています。中庭に立つ大きなバニヤンツリーは1904年に植えられたもので、100年以上ホテルの歴史を見守ってきたシンボルです。建物の中を歩くだけで、まだ飛行機のなかった時代のハワイ旅行に思いを馳せることができます。
セント・アンドリュース大聖堂|英国国教会の重厚なゴシック建築
ハワイ王国とイギリスとのつながりを今に伝えるのが、セント・アンドリュース大聖堂です。カメハメハ4世と妻エマ王妃の意向で1861年に建設が計画され、王の急逝を経て1867年に着工、完成までに実に40年近くを要しました。建設資金はエマ王妃自らが渡英して調達したというエピソードも残っています。重厚な石造りのゴシック様式は、これまで紹介してきたハワイ独自の建築とは対照的で、ヨーロッパの伝統建築がハワイに根づいた貴重な例といえます。
番外編:ホノルル・ハレとスパニッシュ・コロニアル・リバイバル建築群
ダウンタウンを歩いていると、統一感のあるアーチ窓や瓦屋根の建物が並んでいることに気づくはずです。1929年に建てられたホノルル市庁舎「ホノルル・ハレ」をはじめ、ハワイ州立美術館、YWCA、旧ハワイアン・エレクトリック・カンパニーの社屋などは、いずれも1920年代にハワイで流行した「スパニッシュ・コロニアル・リバイバル様式」で統一されています。中庭を囲むように建物が配置され、風通しの良い造りになっているのが特徴で、南国の気候に合わせて洗練されていった建築様式の面白さを感じられます。1軒ずつじっくり見るのはもちろん、こうした「様式の共通点」を探しながら歩くのも建築好きならではの楽しみ方です。
ダウンタウンを歩いて建築巡りをするコツ
紹介した建物のうち、イオラニ宮殿・アリイオラニ・ハレ・ハワイ州議事堂・アロハタワー・カワイアハオ教会・セント・アンドリュース大聖堂は、いずれもホノルルのダウンタウンから徒歩圏内に集まっています。この一帯は「ハワイ州都歴史地区」として、20を超える建物や敷地が国家歴史登録財に指定されているエリアで、地図を片手に散策するだけでも見応えがあります。すべて回ると距離にして約3km、歩いて40分ほどですが、内部見学も含めるなら半日ほど時間をとっておくと安心です。ワイキキからはトロリーや路線バス、シェアサイクルで20〜30分ほどでアクセスできます。
一方、ロイヤルハワイアンとモアナサーフライダーはワイキキビーチ沿いに立っているので、ビーチ散歩のついでに外観だけでも見に行きやすいのが魅力です。実際に宿泊しなくても、ロビーやラウンジを利用しながら建築を楽しむ「一杯だけ立ち寄る」スタイルもおすすめです。
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- コンパクトなミラーレスカメラ・広角レンズ(歴史的建築の外観を撮るのに便利)
- モバイルバッテリー(写真や地図アプリで消耗しがちなスマホの充電に)
- 携帯用の水筒・冷感タオル(徒歩ルートでの熱中症対策に)
- 現地ガイドブック・建築マップ(見学ルートを効率よく回るために)
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まとめ
ハワイの建築は、ハワイ王国時代の宮殿建築から、西洋の宗教建築、20世紀のリゾートホテル、そして現代のモダニズム建築まで、実に多様な様式が積み重なってできています。ビーチや自然だけでなく、こうした建物のストーリーを知ってから訪れると、いつものハワイ旅行がまったく違った奥行きのあるものに感じられるはずです。次回のハワイ旅行では、ぜひダウンタウンの歴史的建造物やワイキキの老舗ホテルにも足を延ばしてみてください。

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